積載車のラジコン(リモコン)修理

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先日Dラーさんから「積載車のリモコンが使えなくなった」とのご連絡があり送っていただきました。
内容は電源スイッチの接触が悪かった。
接点復活剤を吹き付けた。
完全に電源が入らなくなった。
簡単に言うとこういう事です。

不動理由が単純だから簡単に直るんじゃね?
と思ったのですが・・・



流石に年末ですね。いろいろとバタバタしていたのに自爆しました。
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まずは電池のチェック。
単純に電池が無かったらポアしてやる予定だったり。。。

単三電池3本直列の4.5V駆動のようですね。








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電圧は1.4V。
新品ではなさそうですが、問題なしです。
3本ともほぼ同電圧でした。










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やはり内部の問題と言う事で開腹作業開始。

2段構造で写真で言う上側の基板が操作系、下側がRF基板(送信部)のようです。

電源が入らないと言う事なので問題は操作系の基板に照準を合わせました。





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ここがウチのオペ室です。

車関係の修理・解析ならある程度の事は出来るかな??








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乾電池駆動のようなものの修理では分解してしまうと通電が難しくなります。(筐体を電池ケースとしているため。)
そんな時に役立つのがこの様な電源です。
電圧・電流を自由に設定でします。
(当然範囲はありますけど)





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で、電源が入らない!と言う事からまずはスイッチ類の点検です。

ちなみにこのスイッチ(タクトスイッチと言います。)は洗浄出来るタイプの接点モールドですので、なんぼ接点復活剤を吹き付けてやってもスイッチの接点にはかかりません。





接点復活剤はメカニカルスイッチやリレーの切片、コネクタ(カプラ)部のコンタクトピンなど金属表面の酸化物に作用し接点抵抗を低下させるものです。
なので、ピッチの狭い基板に直接吹きかけたりすると場合によっては電流がリークし逆に壊す事もあるので要注意です。(電源を切っていてもバックアップ用の電源などがあったりします)使用する時は目的の接点にピンポイント攻撃をするようにしてください。

ちなみにワシはその場しのぎの対策や確認でたまに使用する事もありますが修理ではゼッテ〜使わねぇ〜です!
原因がわかったのならば交換してこそ修理完了ですからね!

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で、スイッチはタッチが悪くなってきているものの問題なく動作する事が確認できたので、今度はどこで通電が途絶えているかを基板のパターンを追いながら調べていきます。

回路を調べてみるとどうやら常に通電状態にあり、電源スイッチを押す事で写真部分のFF(フリップフロップ)回路でリモコン電源を入れているらしい事がわかりました。





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更に調べるため二階建ての基板を切り離す必要がありました。
ところが両基板はハンダ付けされており容易に切り離し出来ない作りになっておりました。

(左が操作基板、右がRF基板と思われます)






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こんな時に役に立つのがハンダ吸い取り器です。
小手先に穴があいていて内蔵の真空ポンプで溶けたハンダを吸い取ってくれます。
昔はハンダ吸い取り線っていう網線にハンダを吸い取らせ部品を取り外したりしていた時代もありましたが、部品の小型、集積度が上がったことで今ではパターン剥離させたり、余計な部品にダメージを与えたりしてしまうのでまず使用しませんね。



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これで基板の両面から通電確認が出来ると、テストリードを当てながらチェックしているといつの間にか点灯している。。。

ん??

って事は半田クラックか?






もう一度おさらい。

今まで使用していた。
電源スイッチの接触が悪くなってきた。
そこで接点復活剤を吹き付けた。
使用不能になった。

です。

これを使用者の立場にたって考えてみると、
電源スイッチの接触が悪いと判断する。⇒何どもスイッチ操作をしたり、イラついて力任せにスイッチを押す。(特にオレはこのタイプ)
二階建てになっている基板の上層階にスイッチがあることで、スイッチを必要以上に強く押されると基板が変形する。⇒基板に装着されている半田部分にクラックが発生。
このクラック部分が接触不良になっていて、実はかろうじてつながったりして動作していた。
電源回路がフリップフロップと言うラッチ回路(この場合電源スイッチを一度押すとオン状態が続き、もう一度電源スイッチを押すとオフの状態が続く)である。よって上手いことオン信号さえ入れば感覚的には電源が入った事になり、オフに関してはタイマー回路が働き、一定時間で自動的にオフになるので気にならない。(ましてや、たまに積載車を使用するワシも操作に入るときは電源スイッチを入れるが、自動的にオフるのが分かっているので、わざわざオフにする操作はしない)

で、このクラック部分に水などが侵入(写真でも分かる通りリモコン表面のスイッチ部分のシートが破れているので雨など水分や汚れは入り放題)クラック部が腐食していく。
そこへ接点復活剤が侵入し、クラック表面の酸化物などの導電性物質が洗い流されると結果クリアランスが広がり断線状態になってしまった。
で、今回チェックのためにテストリードを半田面に押し付けてはスイッチを操作していた事でフリップフロップが動作し電源が入った。のかもしれません。
恥ずかしながら目線はスイッチを押したらテスターの表示面に行っていたため導通チェックの際裏側に装着されているLEDには気が付きませんでした。。。

そこで、再ハンダを試みる事にしました。
と、言ってもただ単にハンダ付けをするのでは信頼性に欠ける(古い半田の上にはのりづらい)ので

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表面実装のチップ部品はこの様なピンセット型のハンダごてを使用し部品をはさんで除去。









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取り外した部品に残っているハンダと基板に残っているハンダを吸い取り器で除去し、イソプロパールというアルコール?で洗浄。








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ハンダ付けには部品に合わせて2種類の小手先を使い分けてハンダ付けします。









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念の為部品を外しながら基板のパターンを追いかけつつ回路図をおこして今後の参考に資料を作っておきます。
これにより動作不良がおきた時に特定が比較的容易になります。








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最終的に組み上げる前に動作確認です。
ピンヘッダーで二枚の基板を連結してしまうと面倒なのでリード線で連結。

電源電圧を3.2V付近以下になると電池交換を促すLEDが点滅することを確認。
(どうやらプログラムはブッ飛んでいないようで安心)




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更にRF部も念の為点検。

電源ランプが付いているだけで実は電波が出ていないなんてオチにならない為です。

測定のためにアンテナ部分に同軸ケーブルを繋いでみました。





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送信周波数(搬送波)は317.95MHzのようです。

ほんなら、どの程度の出力レベルなのか?







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スペアナで確認してみる事に。
センター周波数を合わせて。。。










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リモコンの操作スイッチを押して見ると一応すべての操作スイッチで電波は出ているようです。
出力レベルは-18dbm程度。
このレベルが適正なのかは不明。。。
まぁ乾電池駆動なのでこんなもんなのでしょうか?





と、言う訳でDラーさんにご報告。

ところが・・・

どうやら電源を入れると緑のLEDが"点灯"
電池が無くなると赤のLEDが"点滅"
だったとの事。

ところが現状は電源を入れると緑のLEDが"点滅"
電圧低下で赤のLEDが"点滅"
と、どちらもLEDは点滅状態で点灯状態になっていない。

ほんなら"緑の点滅"ってどう言う状態なん??

今まで使用していたDラーさんもそのような点灯状態は知らないとの事。
書きおこした回路を見てもLEDを光らせるのはあくまでもROM。
しかも、わざわざ"点滅"させるという事は意図的に組み込まれたハズ。

しかし資料も無くわからない。

そもそも、このラジコン修理の際Dラーさんはメーカーさんに修理依頼されたようであるが、メーカーさんに「古い物であり、対応できる人がいないので修理出来ない」と断られたもの。

お手上げです。。。

"点滅"の意図は???

通電はしている。
電波は出ている。

が、実際にリモコン動作するかは手元に受信機が無いので不明。
せめてこのラジコンを使用していた積載車があれば。。。

今できる事は???

動作するかしないかは今度はちゃんと操作させるための信号が電波に乗っかっているか(変調信号)を確認しなければならないのですが。。。
だいたいどんな変調方式なのかもわからない。
ググッてみてもたどり着けない。。。
せめて何かで確認したい。

RF基板の7つのピンにオシロスコープのプローブをあてて確認するも、4つの操作スイッチに関連しているような波形は見られず。。。

ならば!と

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デビューションメーター(FM直線検波器)通称:直検

で確認してみました。

簡単に言うと受信機です。







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操作スイッチを押すと一応変調信号は搬送波に乗っかっている事がわかりました。









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このように、変調信号はあります。
スピーカーからは「ビヤー」と聞こえます。

しかし、4つの操作スイッチをどのようにみきわけているのかまではどうにも私の知識では。。。(未熟やわ。。。)






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電源も入る。
搬送波もでる。
変調ものってる。

無線通信の最低限必要材料は整っている。
ここから先は受信機がなければどうにもならん!





と、言う事でギブアップ。

様子を見てもらうためにDラーさんに発送。

翌日連絡あり。

LEDは点滅するものの、積載車の操作OK!との事。

どうにもLEDの点滅要因が不明であることが消化不良であるが、取りあえずこのまま使っていただく事にしました。

電波というものは限りある公共の資源であり、このLED点滅が「電波の質」の問題でないことを願いたいものです。

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